漢満堂の漢方講座もついに30回目!
今回は鍼灸学生や初めての方が多かったので、漢方の歴史の話から始まりました。
漢方を学ぶ上で歴史を知ることはとても重要です。
興味がない人が多いのですが、ここを押さえるか押さえないかで漢方ライフが大きく変わります。
また、三陰三陽論などの基礎的な講義もありました。
学生さんからあがった「中医学と古方派の違いは何ですか?」という質問も歴史に答えがあります。
そもそも中医学というのは2000年前にはありませんでした。
青木は中医学と中国伝統医学そして漢方医学という言葉を分けて話しています。
ここでは長くなってしまうので、また別の機会に書くことにします。
さて、私の所感ですが、中医学は理論的で入りやすいですが、診断学・処方学を覚えるのが大変なのです。
実際に私も大学時代に漢方研究会に属していましたが、中医の診断学でつまずきました。
古方の勉強は症状と処方運用を経時的に理解できるので、とっつきやすく臨床的でもあるのです。ただ、漢文なのがつらいところですが。
また、陰虚という同じ単語でも中医と古方では意味が変わってくることも説明。
同じ用語でも中医と古方で意味が違うなんて、混同しないようにしないといけませんね。
そしてつまずかないで漢方を勉強するコツの話しもありました。
つまずく人は続出していますが・・・笑
その日の参加者に応じて話す内容を変えるあたりは、さすが青木先生と思いました。
傷寒論の序文(担当は阿部)
読むだけだと思っていたのですが、やってみると「どこで区切れば分かりやすいか?」「どこを強調するか?」と考えながらだったので、区切るところをいくつか失敗してしまいました。
また次回までの課題が増えました(;´Д`)
生薬解説:「知母(チモ)」(担当は阿部)
知母という生薬は熱を冷ます作用と、水を補う作用があり、虚実に関わりなく使える優れものです。
熱を冷ます漢方としては石膏が有名なので、石膏と知母の違いを知ることが重要です。
そして、石膏と知母の組み合わせは白虎湯類という基本カテゴリーになります。
白虎ってどこかで聞いたことありませんか??
四聖獣の中の一つ、青龍、朱雀、白虎、玄武の白虎です。
青龍は鼻水の漢方で有名な小青竜湯があります。傷寒論には大青竜湯というものもあります。
玄武は玄武湯(現在の真武湯)というものがあります。
次に朱雀ですが、残念ながら朱雀湯というのはなく、十棗湯が朱雀湯にあたると言われています。十棗湯を用いることは現代ほとんどありません。
さて、知母についてですが、神農本草經には「消渇(しょうかち)、熱中を主り、邪氣、肢体の浮腫を除き、水を下し、不足を補い、氣を益す 。」とあります。
消渇とは喉が渇くという症状で、熱中は内熱がこもる症状です。
知母を臨床的に使えるようになるには、熱が内熱なのか、外熱なのかを見極める必要があるのです。
近年、知母の成分の中のサルササポゲニンにバストアップ作用があると注目されています。
ただ、そのクリームを塗った後はしっかり手を洗わないと手の脂肪も増えるとか。
傷寒論解説(担当は青木)
約2年半でようやく傷寒論の太陽病が終わりました。
傷寒論は太陽病が占める割合が多いので、この後はサクサク進みます。
黄芩加半夏生姜湯の話しから、吐き気のある患者さんへの加味加減の解説。
半夏と生姜は嘔家の聖藥といわれています。
半夏は一般では手に入りませんが、生姜はスーパーで売っているので、
吐き気のある時は生姜のおろし汁を試してみてください。
青木が学生時代、葛根湯証でさらに強い吐き気を覚えたことがあったそうです。
葛根湯には生姜は入っているのに半夏が入っていないことを思い出し、半夏を加えたらたちどころに治りました。
その後、傷寒論を読んでいたら、なんと、葛根加半夏湯という処方があるじゃないですか。
加味加減のセンスが張仲景と少しシンクロしたように感じたという想い出を語っていました。
その後は、太陽と少陽の合病の解説。
いつも参加してくれる先生に「太陽之爲病脉浮頭項強痛而惡寒」を読んで下さいと無茶振り。
と、思いきやあっさり返答。
もう漢方講座を卒業で良いのでは。
煎じ薬:「白虎加人参湯」
その後は白虎加人参湯を試飲。
私の師匠はアトピーの患者さんによく使っていました。
今回も白虎加人参湯証の人がいなかったのは残念でしたが、前回の黄連解毒湯よりは飲みやすいと皆さんおっしゃっていました。
次回は4/1です。漢方に興味のある方は是非、一緒に勉強しましょう!!
この記事へのコメントはありません。